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東大大学院を辞め、教育系Youtuberになった経緯とは。受験メモ山本さん④


その他
2021年12月7日

ばってんです ♨️
 
普段、YouTubeの授業動画で勉強する方も多いと思いますが、お世話になっているYouTuberの方の大学時代を深く知る機会ってそんなに多くないですよね。
 
大学や学部の紹介については、ネットで調べたら結構出てきますし、まだイメージが湧きやすいと思うのですが、「大学進学後の人生の道の選び方」がわかるものってなかなか少ないですよね。
 
学校の先生もそこまでは詳しく知らない場合があるので、これに関しては、実際に大学を卒業して社会で活躍している方の体験談を聞くのが良いと思います。
 
そこで今回は、東大工学部を出てオンライン個別指導塾を経営されながら、YouTuberとして授業動画を作られている受験メモ山本さんYouTubeのチャンネルokedouのチャンネル)に、高校時代の過ごし方から、進路選び、さらには大学入学後の話をじっくりとインタビューしました!
 
内容が盛りだくさんすぎて、1つの記事に収まらず、5部構成になっています。志望校に関係なく、ぜひ普段の勉強に役立ててみてください!

今回は第4回で、なぜその学科を選んだのか、どんなところだったか、そこからどんなキャリア選択をしたかを詳しく聞いていきたいと思います。
 
勉強の休憩時間に是非読んでみて、やる気を少しでも上げてもらえたら嬉しいです。
 

(わかりやすすぎる授業動画を出されています。チャンネル登録もぜひ!)


前回の記事では、東大生の実態や山本さんの大学生活の前半戦をじっくりと伺いました!その後、卒業後を見据えて進学する学科を選ばないといけないタイミングがやってきます。そこで、「工学部電気電子工学科」(通称:電電)を選んだ山本さん。どんな思いでどんな選択をしたのか、迫りたいと思います。

学科決めの葛藤

なぜ電電を選んだのですか?

一言で言うと、点数ですね。笑 

東大の場合、2年の真ん中で行われる進学選択は、基本的にそれまでの履修科目の点数の平均点によって決まります。なので「点数が取りやすいからこの授業を取ろう」という行動になってしまいがちなのですが、自分は性格が天邪鬼だったので、授業を選ぶときは「今学びたい授業を取ろう」という価値観を貫いていました。なので、点数は必ずしも良くなかったんですよね。そんな中で入りやすかった学部が電電という感じです。

実は当時法律の勉強にもハマっていて。憲法・刑法・民法あたりはがっつり勉強していたんです。理科一類から法学部に行くための点数が低かったので、法学部にも行きたくなって、とても迷いました。

決め手は何だったのでしょうか。

法律の勉強にハマってはいたのですが、少し客観的に見たときに、「気の迷いすぎるかな」という気持ちが出てきました。法学部に行くと、当然ずっと法律の勉強をしないといけなくなりますし、それはちょっとしんどそうだなということで、踏み切れませんでしたね。

遊びでプログラミングとかもやっていたので、まあそっち系の学科でもいいかなと思って電電にしました。

電電はどういう人が集まって、どういうことをやる学科ですか?

電電は電子工作をイメージすると一番わかりやすいと思います。半導体とかの、基礎よりはガッツリ応用系の勉強ができます。同じグループとして電子情報工学科(通称:電情)という学科もありまして、こっちはがっつりプログラミングの学科です。

電情の方が進学選択の際の底点が高いこともあり、プログラミングをしたくて電情の研究室に入りたいけれども、点数が足りなかった、という人も電電に流れてきていました。なのでプログラミングをやっているような情報系の人も電電には多かったです。

カオスで面白そうですね。笑 皆さんどういう進路を辿るのですか?

そのまま大学院まで行って、IT系の会社に入る人が多かったです。自分の同期で、逆に文系の職種からIT会社に入った変な人もいますが、基本的には技術的な職種につきますね。

大学を通じて、印象に残っている授業はありますか?

二つ思いつくんですが、一つは、電電での量子力学の授業です。教授の中で、授業の優秀賞みたいなものが毎年あるのですが、そこで受賞しているような先生で、授業が面白かったです。量子力学では、トンネル効果という現象があって、人間が壁をすり抜けられる確率は0ではないという結論が出てくるのですが、授業で毎年試していましたね。壁にぶつかって「ああ、今年もダメでした」みたいなことをぶつぶつ言ってました。

あとは、これも量子力学を知らないと何も面白くないと思うのですが、「連絡をしたいときは、自分は本郷のどこかに存在しているので、積分したら確率が1になります」みたいな理系ジョークも飛ばしていました。

もう一つは、駒場時代の統計力学の授業です。これは、本当にわかりにくくて。こんなにわかりづらいこともあるのかと逆に印象に残っています。笑 授業が終わるごとに友達と文句を言い合っていました。統計力学の有名な参考書があるのですが、それを自分でやらないと授業がわからないという状況でしたね。ただ結果的には、その本をしっかり勉強できてプラスになりました。

一歩踏み出した進路選択

受験メモ山本さんは、最初はブログからスタートされたんですよね?

そうですね、もともとバイトでオンライン塾の講師をやっていました。後輩の友達が起業していたので、そこにお世話になっていました。

化学については、浪人の受験期に開眼して伸びた(第2回の記事参照)のですが、完全にストーリーとして頭に入れていたので、2年生の終わりに塾講師を始めたときに、まだ全部受験化学の知識を覚えていたんですよね。そして当時の自分の気持ちをそのまま教えたら、感動させられないことがなくて

電電の勉強は嫌いじゃなかったんですけど、塾講師として教えている内容を評価して頂いていたので、このまま流れていくのはもったいないということで、真剣にブログを書こうと思ったのが始まりです。

大学1〜2年生のときに、ブログやら広告やらアフィリエイトやらについて調べていたことがあって踏み出すことができたのですが、そこで適当に取ったドメインが jukenmemo でした。

当時のドメインが今のチャンネル名になっているんですね。学部の研究との両立は大変でしたか?

研究は好きだけど嫌いでした。結論、コミュニティが好きじゃないんでしょうね。好きに研究していいよ、と言われると燃えるのですが、研究室で進捗や結果を求められると焦ってしまって。基本的に繊細なので、「なんでそんなことするの?」と思っちゃうんですよね。

これだと自分は企業では働けないなと悟りました。笑 自分はフラットなのに、向こうが上から目線でくると、「え、何が違う人間なの?」と思っちゃう。

結局、自分の納得がいかないテーマで研究をやって、卒論は一応書いたんですが、やっぱり苦しさがありました。書くだけならまだしも、価値が薄いと自分が思っていることを、発表で頑張ってアピールしないといけないのが辛くて。大学院に行ったらやりたいことだけやろうと決めました。

大学院に進まれてみて、どうでしたか?

大学院に行ってみると、「いや、待てよ」と。そもそもこの研究というもの自体が自分のやりたいことではないんじゃないか、と思うようになりました。そう思ってしまったら、「早く辞めて次のステージに行かないと」と、いてもたってもいられなくなって来ました。

大学院1年生の10月に、よし変えようと思い立ち、大学院を辞めました。それからはブログを毎日更新し始めて、ブログのページが検索で上に来るようにしつつ、あとはバイトで稼ぐようになりました。

あとは、メルマガ配信を始めてみて、共感してくれる子に自分の参考書を販売する、といういわゆる情報商材ルートも考えていたんですけど笑、なんか売り切りで教えた気になってしまうことに違和感があって、やりませんでしたね。

YouTubeチャンネルを開設されたのもその頃ですか?

当時ブログを書いていたら、ヨビノリさんが出てきて、教育系YouTuberバブルみたいな感じになってきました。鈴木貫太郎さんとかもちょうど伸び始めてきた頃ですね。化学の授業なら自信があるし、自分もやろうと。

早さ勝負だと思って、すぐホワイトボード、柱、ノコギリ、カメラを買って、撮り始めました。でも全然授業がうまくできなくて。よくよく考えてみると、自分は集団授業を行った経験は無かったんですよね。最初の動画は、10回くらい撮り直したと思います。何とか最初の動画を作り終えて、その年の12月にスタートしました。

撮り直し、とてもわかります...。オンライン塾も同時に開講されていたのですか?

その後ありがたいことにチャンネルが伸びてきて、これで集客できるかな、くらいでオンライン塾のバイトをやめて独立しました。時間があればもっと動画講義を作れるんじゃないか、と思うようになって他のバイトも全部辞めました。

当然そこからは収入がほぼ無くなって...。1〜2人が塾に入ってくれて、貯金の減りが遅くなってとてもホッとしたことを覚えていますね。なかなかきつかったです。

大変でしたね...。苦労話を教えていただきありがとうございます。

進路を今振り返って

今振り返ってみて、受験生に戻ったとすると、どの大学のどの学部を受験したいですか?

そうですね〜。大学については、やっぱり東京大学は良かったと思えます。その上で、やってみたいことは、取れなかった他の授業を取ったり、進学選択としっかり向き合って学科を選んだりしてみたいです。

特に、物理、化学、数学については、自分である程度勉強していたのですが、やはりまだまだ学びが浅いな、実践的なところまでいけないなと思うことがあるので、専攻としてゼミでしっかりとアウトプットしながら、深く勉強してみたいです。
あとは京都大学にも興味あります。笑 京都大学に、というよりは、京大生ってどんな人たちなんだろう、という興味があります。

今は独立して仕事をしていますが、経営の知識に関しては自分で学べるという印象です。それに比べて、腰を据えて興味のある理系科目を学べる環境ってすごく貴重だったなと思います。社会人になると、がっつり勉強ってなかなかできないですからね。


いかがでしたか?
 
前回の記事と同様、自分の興味・関心に沿って進むべき道を模索された山本さんのお話は、大きな刺激になったのではないでしょうか?
 
受験に合格して、良い大学に入ったら人生終了、ということでは全くないことがわかりますよね。納得感のある人生を歩むために大事なのは、情報を集めて、自分で考えて一歩踏み出し続ける姿勢ではないかと個人的には考えています。
 
この姿勢を高校生のうちに身につけていると、大学や大学生という環境を活かして自分の道を積極的に切り開いていけるはずです。せっかく時間を使うのであれば、やらされる受験勉強ではなく、こういった意識を持って受験勉強をやっていきましょう。
 
受験メモ山本さんはオンライン個別指導塾もなされていて、受験からはみ出てもいいから深く学びたい方、学ぶ意欲がある方を募集されています。もし独学で細かいところまで学べずに困っている方がいたらオススメです!
 
次回の記事でついに最終回です!山本さんからの高校生へのメッセージをじっくり聞いているので、ぜひこちらも見てみてください。
 
読んでいただき、ありがとうございました〜。

この記事の著者

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ぶおとこばってん

ラ・サール中高→東大理1→計数工学科(数理情報)→UCLA院卒 社会を人から変える会社 okke の CEO YouTube上で、高校数学をじっくりコトコト深く解説中 頭があったまる記事を書いていきます ♨️

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