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医学部受験のすゝめ


その他
2022年6月2日

はじめに


近年医学部の倍率は高くなり,昨年については地方国立医学部で一般入試の倍率が5倍を超えたりする大学も多くみられました。 

今回はそんな医学部受験の特徴,注意点を中心に紹介したいと思います!
 
医学部はちょっと特殊とはいえ,他学部受験との違いはあまりありません。
 
違いをきちんと理解して正しい対策を心がけましょう!
 
 
 

医学部受験の特徴と注意点

 
国公立医学部を受ける場合と私立医学部を受ける場合でも違いはありますが,今回は国公立医学部を受ける場合について紹介します。
 
 
国公立医学部の受験方法は他学部と同じで
 
・推薦入試
 
・一般入試
 
の二種類があります。
 
 
推薦入試において他学部と違うのは,
 
共通テストを課す大学がほとんどである
 
というところです。
 
他学部では共通テストを課す推薦入試と共通テストを課さない入試があるのに対し,医学部においてはほとんどの場合共通テストを課します。
 
また大学によりますが,推薦入試とはいえ共通テストの得点率は8~8.5割程度を基準に取っている場合が多く,面接に全力を注ぐというよりは共通テストに全力を注ぐという人が多いです。
 
医学部推薦入試は地域枠と呼ばれ,人手不足の病院で僻地医療に携わる医師の確保のために行われている入試方法とされています。
 
地域枠として募集をかけていて,近隣地域からのみに限って受験可能である場合が多いです。
 
推薦と一般両方受けることを考えている場合,地域を絞っているのか,また絞っている場合はその地域に含まれているのかの確認は必ず前もって行いましょう。

地域を絞っている場合,特定の地域の倍率が8倍を超えたりと,場合によっては一般入試よりも倍率が高くなることもあります。
 


また地域枠の推薦で入学した場合,入学後卒業まで強制的に奨学金を受け取ることを条件に入学を許可する場合がほとんどです。
 
そういった場合は毎月決められた額の奨学金を支給されますが,卒業後に奨学金を受け取った年数×1.5の年数指定の病院での勤務を余儀なくされます
 
この勤務の義務をなくすためには奨学金を返済する必要がありますが,利子が高いので返済することは現実的ではないと思います。
 
また合格が決まっても奨学金を受け取らないと入学は認めないとしている大学が多く,奨学金を受け取ると半ば強制的に約9年間の僻地医療を強制されます。
 
このとき従事する病院は自分で決められるのではなく,県や大学から指定されます。
 
そのため自分の親しみのある地域の病院などを選べるわけではありません。

また専門の科を指定される場合もあります。
(特に不足しているのは産科や小児科と限られているため)
 
ストレートで卒業した場合でも学部生としての6年間を含めると15年間拘束されることになるので,医師になりたいという気持ちが強くなく,肩書のみを求めている人,医師になりたいけど僻地医療には従事したくない人,卒業後は地元を離れて働きたい人などにはお勧めしません
 
また卒業後のみでなく大学生生活においても,放課後に地域枠の生徒のみ集められて集会や担任との面談に参加したり,強制的に一二年生の早い時期に地域医療体験実習に参加する必要があったりと,一般入試で入学した学生よりも拘束時間が多くなるということもあります。
 
また地域枠で合格した学生の割合が少ない大学においては,入学後に一般入試で合格した学生と自分の共通テストの点数を比較してコンプレックスを持ってしまう人もいます。
(私の大学では推薦で入った人が10%を切っているので,コンプレックスを抱えている人をよく見かけます)
 
ここまで読むと地域枠で入学することのメリットを感じられないかもしれませんが,もちろん地域枠で入学することにもメリットはあります。
 
 

地域枠で入学することのメリットは
 

学費が少なく済む
 
地域医療に従事できる
 
・二次試験を受けなくてよい
 
・共通テストのハードルが一般枠で入るよりも低い
 
留年率が低く,国家試験合格率が高い
 
 
地域枠で入ることの大きな特徴は二次試験がなく,共通テストの合格平均点も一般枠よりも低いことがあげられます。
 
そのため二次力に自信がなく,共通テストのみに専念して確実に合格を勝ち取りたい人にはお勧めです。

加えて前述の奨学金については,9年間(またはそれ以上)の任期を果たすと返済する必要はなくなり,多くの場合この奨学金が月10万円程度であることから,学費を圧倒的に安く抑えることができます。
 
また医師になるという目標を持っている人でも,幼いころから地域医療を身近に感じていて地域医療に従事することを目指している人にとっては,デメリットもメリットとしてとらえることができます。
 
加えて前述のとおり僻地医療への勤務義務期間は大学に通って奨学金を受け取った年数×1.5年なので,1年留年すると1.5年勤務義務期間が長引くため,合計で2.5年拘束時間が増えてしまいます。
 
そのため一般枠で入学した学生よりも勉強への意欲が高く,留年率が低く国家試験合格率が高いという結果が得られています。
 
 
逆に一般入試の特徴としては
 
・共通テスト,二次試験ともにまんべんなく高い点数を取ることが要求される
 
・面接が必要
 
・入学後2年間の研修の参加が任意の場合がある
 
 
医学部受験で他学部と最も異なるところは,一般入試においても面接が課せられるところです。(もちろん推薦入試でも課せられます)
 
具体的に点数化してテストの点数に換算する大学もあれば,点数には換算せず医療者としての自覚が足りているかの判断のみに使い,点数とは関係のない大学もあります。
 
それぞれの大学によって面接の重要性は異なるので,対策をどれほど行うべきか変わってくる関係もあり,例年の配点を見てある程度は予想し,実際の入試要項が公開されたら早めに確認するようにしましょう!
 
近頃の傾向では志望理由はもちろん,コロナウイルス関連のことを聞かれることが多々あります。
 
学校の先輩など,身近な人や連絡が取れる人で,自分の志望大学の医学部に進学している人がいれば,どんなことを聞かれたか,どんな雰囲気だったのかなどを事前に聞いておきましょう!
 
多くの国公立大学では面接は二次試験の筆記試験の翌日に行われることが多いので,二次試験の対策に集中できるように,早いうちから面接の傾向を知り,対策を行っておきましょう。
 
どこの大学を受験するにしても
 
志望理由(なぜその大学か,なぜ医学部なのか)
 
・医師としての倫理観,コミュニケーション能力を持ち合わせているか(患者の意思の尊重)
 
・これまで頑張ってきたこと
 
医療系の学習以外で,大学でやりたいこと
(第二外国語の学習,部活動など)
 
・受験生時代に苦労したこと
 
・自己アピール
 
・最近の医療ニュースで気になっていること(自分の話しやすいテーマを選ぶ)
(コロナのことはもちろん,もしある程度診療科を決めているならばその診療科における最新のニュースなどにも目を向けていると◎)
 
・〇〇について知っていること(面接官がテーマを指定)
(コロナウイルス,mRNAワクチン,PCR検査,iPS細胞など)
 
・理想の医師像
 
などの対策はマストでしておいて,志望大学の傾向に合わせてストックを増やしていくと難なく面接はクリアできるでしょう。
 
また少し調べた程度で正しく理解はしていない分野に関して,安易に興味があるといってしまうと,面接担当が問い詰めてくる場合があるので,自分が興味のある分野については前もって詳しく調べておく,もしくは詳しく調べ切れていない場合は端から話題に出さないようにしましょう。
(最近話題に出ていて少し聞いたことがある程度で興味があるといった場合,面接官にはそのことがばれてしまい,きつく言い寄られた,といった報告書をよく見ました)
 
 

最後に

 
医師国家試験に禁忌肢があるように医学部の面接でも言ってはいけないことがあります。
 
患者の医師は無視して治療優先だ,地域医療に従事するつもりはない(地域枠において)など,思っていても面接の場においては言わないでおきましょう。
 
二次試験の対策に比べると面接試験の対策はずいぶん楽に感じられますが,医療ニュースに目を向けず勉強ばかりを行っていると,面接直前で焦ってしまったり,面接のときにわからないで話が進まなくなってきたりするので,そうならないためにも医療ニュースには意識して耳を傾けるようにしましょう!
 
また共通テスト・二次試験ともに高い得点率を取ることが求められるため早いうちから対策しておきましょう。

この記事の著者

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県立中高一貫校→岡山大学医学部医学科 少しでも受験生のためになる情報を発信していきたいです!